さくらの守人
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てんぐ巣病ってなに?
病気の写真
写真
日付
2022年9月
病気の情報
山口大学植物病理学チームの研究情報等を記載
てんぐ巣病は、サクラだけでなく、様々な植物でもみられる病態のことで、枝から細い枝が叢生している状態を指します。海外では「魔女の箒」と言われており、それを日本では「天狗」とし、天狗の巣と表現したことから「天狗巣病(てんぐ巣病)」となったといわれています。
ここでのてんぐ巣病はサクラに特化するため、サクラ類てんぐ巣病(以下てんぐ巣病とする。)
みなさんは、お花見に行ったとき「花の数が減ったな」「花が咲いてない塊があるな」と感じることはないでしょうか?
実は、それこそが「てんぐ巣病」
カビ(酵母の一種)タフリナ属菌(Taprina wiesneri)の感染によって、枝が叢生します。その細い枝からは葉っぱは出ますが、花はほとんど咲きません。
葉っぱの状態も正常枝から出るものと違い、小ぶりで緑が薄く、形もいびつなものがあります。この病気の枝から出る葉っぱの裏に新たに胞子を付け、4月下旬から5月中旬に渡って胞子を飛ばし、感染を広げていくのです。
菌は湿気を好むため、山間の霧の多い場所や、川・湖沿い、風通しの悪い場所でより多くの胞子がとぶため、山間部にてんぐ巣病に蝕まれている桜の木が多いのです。
木の栄養、光合成の事を考えると、葉っぱが多い方が良いと思いがちですが、てんぐ巣病については話は別です。厄介なことに、病枝から出た葉っぱは、光合成はしますが、できた栄養素は叢生した枝の中で循環します。つまり、桜の木本体に栄養がいかないのです。さらに、本体からも少しずつ栄養を取り、大きく成長していくのです。
こうして大きく成長したてんぐ巣病の枝は、太陽を遮り、正常枝にも影響を及ぼすと共に、雪や雨、台風などの影響を受け、折れたり傷ついたりすることで、さらに別の菌が本体を蝕み、年月をかけて桜は枯れてしまうのです。
では、どうしたらいいのでしょう?
実はてんぐ巣病には予防法はありませんし、罹患した際の特効薬もありません。
ただ一つ。治療の方法は、罹患部を剪定することです。
剪定後は、適切な処理をすることで、桜の木は健康を取り戻します。
一番初めに触れましたが、お花見の時に見える緑の塊。それがてんぐ巣病です。と。
みなさまの中に、ヤドリギをご存知の方もおられるでしょう。
ヤドリギとてんぐ巣病の枝の塊は、全く違います。
まず、ヤドリギは常緑なので冬でも緑です。葉っぱの形はまるく二葉のような恰好をしており、赤やオレンジ色の実を付けます。てんぐ巣病の枝はと言うと、葉っぱは桜の葉っぱで、冬には落葉するので、ただの枝になります。


